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ちばの人間探訪

「食育の大切さ」

(左画像)
 栄養士 遠藤 佐知子さん

命の源、食べるということ―

必要なのは、心と身体の栄養。食環境の乱れが問題視され、積極的に見直されるべき状況となっている。食べることは、ただ単に身体に栄養素が入って健康を維持したり、成長を促したりするだけでなく、作り手の心を受けることでもある。また家族が楽しく食卓を囲むことは、心の安定と関係を深めることにも繋がっており、食に関する奥の深さを感じずにはいられない。旭ヶ丘保育園で働く遠藤佐知子さんは、栄養士として10年目を迎え、持ち前の明るさと前向きさで給食室をリードしている保育園に無くてはならない存在だ。飾らず威張らずあっけらかんと話しているが、大豆・乳・卵・青魚・赤魚・甲殻類・野菜・輸入フルーツ・ゴマ等々のアレルギーがあり、食べられるものの方が少ない園児の食事にも「だいじょうぶ!」とにっこり落ち着いて対応している姿には頭が下がる。子ども150名、大人25名の食事を他の調理スタッフと協力して作っている。

朝ごはんを食べない子どもたち―

朝ごはんを食べない親を見習って(?)、朝ごはんを食べない子どもたちが増えているそうだ。重要な役割を持つ一日のスタートである朝食は、バナナでもヨーグルトでもいいから食べさせてほしいと遠藤さん。おやつにスナック菓子ではなくバナナやふかしいもなどを与えるなど、子どもが正しい選択ができるように正しい食習慣をつけるのも、親の重要な役割。親の食習慣が、そのまま子どもに反映されると思うと反省することしきりだ。

子どもの好ききらい―

食べることが嫌いにならないように、無理強いはせず『大人になったら味覚も成長する』ことを信じて大らかに食べさせてあげるのが遠藤さん流。未知の味にならないように『これを食べたら、大きくなるよ〜』とか『元気もりもりになるよ〜』などと明るく声をかけながら、一口は食べさせるところから始めていくだけでいいらしい。そして親もいっしょに『おいしいね〜』と言って食べるなど、食べることが楽しいと思える環境つくりが重要なポイントと言えそうだ。

自分にプレッシャーをかけすぎない食事作り―

最近では『おふくろの味』ではなく『ふくろ(袋)の味』と言われている。栄養価的にも、味覚的にも添加物を考えても100%手作りがいいに決まっているが、『レトルトを使うなとは言わない。でもレトルトを使ったとしても一工夫を!』と、働きながらがんばっているお母さんたちを身近に見ている遠藤さんの言葉は優しい。レトルトのものに野菜を加えるだけで、濃い味を緩和することができるだけでなく、そのひと手間が子どもを想うお母さんの味になるのだろう。また『普段は手早い料理でも、お休みの日は手作りのストックを作ったり、少しの手の込んだものを作ったり、親子で作ったり食べたるする時間を楽しんでほしい。』という言葉は、できることから始めてみようという気になる。作るということは誰かを想うことで食べるということが作り手の気持ちを想像し愛情を受けとることと遠藤さんは言う。だとしたら、あたりまえのようにしている『食べるということ』は、作り手と食べる側との心のキャッチボールなのかもしれない。




(2005年7月)


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